眠れぬ当直。

日曜日、今日は当直。

静かな夜を過ごしたかったが、0時を回ってから
吐血の患者が搬送されてきた。41歳、男性、初診。
2週間以上前から腹痛・食欲不振があり、
開業医から投薬を受けていたそうだが、断続的な吐血を
見かねた家族が救急車を要請したようだ。
患者の意識はしっかりしているが、肌は真っ白、唇の色もない。
かなりの貧血と思われたが、ショックになっていないから
じわじわと出血が続いているのだろう。

Hb値は3.5であった。通常の男性なら13以上あるはず。
Hb3.5・・・通常の25%以下でも生きていけるとは素晴らしい。
人間の許容量って案外広いのだ。

緊急カメラでは胃角部に、近来稀にみる巨大潰瘍が・・。
今は出血はおさまっているようだったので、
寝た子を起こさぬようにそっとカメラを終えた。
朝まで絶食・安静・輸血で様子をみることにした。
なんとか止まったままでいておくれ!と祈るような気持ちだ。

患者はなんとなく体が痛かったので、
薬局でバファリンを買ってのんだというから
NSAIDによる潰瘍だろうと思われる。
(もちろん、あの大きさは悪性リンパ腫なども除外する必要アリだが)
男性はアルバイトをしていたそうだが、この2週間はバイトを休んでいた、
食事も取れなかったそうである。

ずっと前から調子が悪いのが明らかなのに、
夜中に飛び込んでくるいい年の大人が少なくない。
だんだんと暗くなるにつれ不安が増す気持ちもわかるんだけど、
せめて22時までに来ておくれ。
緊急召集をかけられたスタッフとため息。
緊急輸血・・朝までかかるだろうな・・。

明日の勤務はしんどくなりそうだ。