医学の進歩。

大学病院勤務時代は若い血液疾患の患者が多かった。
いつも問題になったのは生殖機能の維持であった。
化学療法をするにしても放射線療法をするにしても
毒性に敏感な生殖細胞の機能を犠牲にする覚悟が必要なのだが
実も花もこれからのうら若き女性に将来子供は持てないかも知れないと
ムンテラするのは辛い作業だった。
当時は卵子の凍結保存も進んでいなかったから(精子保存は可能だったので
男性患者はこの種の問題はなかった)命あってのことだから
生殖機能はあきらめてと冷たい言葉を言わねばならなかった。
同じ女性として本当に辛いムンテラだった。
でも医学は進歩しているのだ、いろんな面で。

卵巣を腕に移植し機能温存 がん放射線治療の女性に

 【ワシントン8日共同】がんの放射線治療でダメージを受ける恐れがあった女性の卵巣を摘出し、本人の腕に移植して機能を温存することにオランダのライデン大などのチームが成功、米専門誌キャンサー(電子版)に8日発表した。
 卵巣が体の別の場所でも機能することを示した報告は珍しい。同チームは、今回の手法が、がん患者が子供を持つ可能性を広げる新たな手段になり得るとしている。
 患者の女性(29)は子宮頚(けい)がんのため、手術と放射線治療の両方が必要と診断された。放射線で卵巣がダメージを受けると排卵が止まり、不妊のほか多くの更年期症状も起きる。
 このため、卵巣を体の別の場所に移植する方法を試みることになり、がんの手術時に医師が左側の卵巣を摘出、左の上腕部に移植した。放射線治療後に検査すると、排卵など卵巣機能は正常に保たれていた。