忘れそうになる、優しい気持ち。

日々の雑用に流されていると、
医者を目指していたころの理想に燃えていた思いや
患者さんへの優しい気持ちを忘れそうになってしまう。
昨日白い巨塔の批判をしたが、一晩考えると、
やはり医療を行う側にとって学ぶべきことも多々あるドラマだ。
どうしても医療側からの一方的な見方をしてしまいがちだけど
外からみえている(=一般の人が感じている)医療の姿は
どうであるかをこのようなドラマで見るのも大切なことだろう。
辛いことだけど。

自分の生活も大事にしたいけど、医者の立場としては
病に苦しむ人をできるだけ優先して考えなくてはいけないな、
最近、患者の立場に立って考えることが少ないなと反省した。

こう反省できたのは今日の出来事のおかげだ。

まず、久しぶりに(大走査線以来)映画を見てきた。
お子様向けかもしれないが・・ファインディング・ニモ
ストーリーはオーソドックスで、展開も結末も予測できる筋だったのに
途中何度もホロリとさせられた。水族館に行ったような美しい画面と
シンプルで優しいストーリーに心が癒された。
暖かな気持ちになり、ゆったりとお茶を飲みながら
ぼんやりとテレビをつけると、TBS・情熱大陸が始まっていた。
今日は92歳の現役医師、日野原先生だ。
超有名な先生だが私自身は先生について年以外はほとんど知らなかった。
この番組で初めて先生のこれまでの業績、歩みを知った。
よど号ハイジャック事件の乗客であったことが
人生の一大転機となったそうだ。死と直面したことで
かえって犯人との心の協調の大切さを感じたことが、
ホスピスへの取り組みのきっかけとなったそうだ。
92歳となっても分刻みのスケジュールをこなし、
じっくりと患者の診療をされる姿には素直に感動した。
私は先生ほど病気以外の患者のことに詳しくもなく優しくもなかったなあ。

中曽根さんが「年齢で人の仕事の能力を決めるな」と言われたとき、
84歳(だったかな?)にもなれば自分でまだまだ・・と思っても
体力も知力も落ちているはず、潔く引退すればいいのに、と思った。
でも日野原先生をみれば、中曽根さんのいわれることも
もっともかもしれない。

私って、まだまだ未熟な人間だ。