医者へのアドバイスの難しさ。

ある程度臨床経験を重ねるとそれなりの自信もつくし、
自分なりのやり方が固定されてくる。
年もとり頭も固くなると、この固定観念が動かなくなる。
私は今の病院では内科では一番下っ端だが、
(若いのではない。単に上が年配だからだ。他科の先生たちの中では
内科ドクターたちをのぞけば、私が一番上に相当する。)
年配の先生たちの患者が時々自分の外来に回ってくる。
首をかしげるような処方や古〜〜い薬が継続投与されていたりする。
採血やレントゲン・心電図以外の検査が全くされていなかったり・・。
疑問に思っても他のドクターに進言することはない。
でもこれって、真摯に患者のことを思えば、激論すべきことなのだ。

勤務医には研修医のオーベン(指導医)を別として、
いっぱしの医者の診療にケチつけるのはマナー違反という妙な常識がある。
悪しき慣習なのだとわかっていても、人間関係を円滑にするためには
言いたい事をこらえて我慢する。

目の前に改善すべきところがあるのに、素通りしてしまう弱い自分。
だんだん理想の医師像からずれていく。

当直をしていると、病棟にたびたび呼ばれる。
普段は見ない他科のカルテも見ることになるが、
?????で頭がいっぱいになることは多い。
どうしてこの異常を放置するのか?何故治療しない?
他科のことには(依頼されない限り)口を出せない。
臨床状態が変化しているのに検査が少なすぎる。
ぐっとこらえて(看護婦にも愚痴れないので辛い)、
その場しのぎの対処をするが、こんなことでいいのか?

科の壁の厚さ、年功序列制度の強固さ、こういうところから
医療改革が必要なのだと思う。

私自身、気づかない至らぬところも多々あるはず。
でも悲しいかなアドバイスされることはない。せいぜい自分で治療を
ときどき見直す位だ。

私が下っ端なせいか、あるいは上司が常識はずれなのかしれないが
○○○先生、私がずっと見ている患者で私なりに考えた処方を
しているのに、1回見ただけで処方を変えないで下さい!
患者も戸惑うし、私も迷惑です!!!
これまで何人もの患者が被害を受けています。