接遇研修会。

施設認定に向けて院内のあちこちで動きがでているが、
役に立つと思われる試みがあった。接遇研修である。
職員対象にはこれまで何度か行われてきたらしいが、
医局対象で大1回目の研修が行われた。
常々勤務先の一部の職員の言葉遣いと態度を苦々しく思っていたので
個人的にこの研修には大いに期待している。

講師は流行のツイードスーツを着こなす、てきぱきとした30代位の女性。

講義は医療はサービス業となり、時代は変わったのです。
これまでの認識を改めて下さい。
診療チームのリーダーである医師が変われば病院は変わります!
という強烈なメッセージで始まった。

さっそく年配の医師から質問が飛んだ。
「いつから医療はサービス業になったのか」
講師、「199○年の厚生白書で医療はサービス業と定義されたのが
公的な認定、明文化だとされています」
医師、「確かその年の国会答弁で厚生省の役人が医療はサービスと
言ったと記憶しているが、この時にある議員からそれでば
患者は商品か?とやじられたのを知っていますか?」
講師、沈黙・・・。
私は職種分類で医療をどこにおくかについては
もともと人間相手の接客業であるので、第三次産業、サービス業で
あろうと思っているが、何となく違和感を感じていた。
違和感はここ(患者=商品ではない)にあったのだと目からうろこだった。

気を取り直して講義は続く。
病院経営にとって一番大切なことは病院の存続と発展であり、
そのためには顧客たる患者様の事前期待を上回る対応が必要。
患者は簡単に浮気します。しかも病院で受けた一番最低のことを
記憶し、更にそれを20人以上に話すと考えてください。
そこで接遇が医療サービスの要となると考えてください。
病院内での位置づけは頂点・中心に患者様が存在し、
次は患者様の立場への認識。上位、中心に患者様があり、周囲に
横並びで医者・薬剤師・看護師・検査技師・・・・などが並び、
全ての業種がチームとして医療に取り組んでいることを忘れないこと。
その際に言葉遣いは大変重要で、お年寄りを子供に対するように
〜ちゃん、とよんだり、食事介助で「あーんして」など
幼児をあやすようにするのはいかがなものか。
これについては後日看護師なんから
「一概に丁寧言葉・大人への対応で現場はやっていけない。
患者によっては、ちゃんづけや、幼児言葉で接するほうがいいこともある。
講師は現場をしらない」と批判があった。
老人はだんだんと幼児に戻っていく。確かにさん、さまで読ばれるのを
嫌がる患者さん、親近感があるからくだけた言葉のほうを好む人もいる。
踊る走査線で青島刑事がトップは現場をしらない!と言っていたが
臨床の現場も正論では対処できないことが少なくない。
(今、DVDでドクターコトー診療所をみているので一層そう思う。
コトー診療所は漫画も知らないし、ドラマもみていなかった。
でも先日特別編をみて素直に感動したのでレンタルで見始めている。
ありえなーい、ことも多いが、白い巨塔のように
揚げ足をとりたいとは思わない、本当に素直に、医療の原点を
見つめなおすことができる。こんな素敵なドラマだとは思わなかった。
つい横道にそれてしまったが、いつか日記でも書くことでしょう。)

患者と医師との位置づけについてはあるドクターから質問がでた。
「もし自分が患者であったら、下位にみているドクターからの
支持は受けたくないと思う。医師が上位とは全く思わないが、
対等な立場と考えたほうがよいのではないか」
講師は「患者様は潜在的に意思へのおそれ・敬意を持って受診している。
だから患者さまを上位におもてなしすることで患者様が気持ちよく
診察に臨めると思うのです」と反論された。

うーん、ホスト・ホステスではないのだから
そこまで気を使う必要はあるだろうか。
大人として常識的な丁寧な対応が必要なのはいうまでもないが。
講師は「医師は偉い、尊敬するもの」という一昔前の感覚を
持っている、ありがたい方なのかもしれない。
今は患者はミスをしないか、きちんと診療してくれるかと
疑問を持ちつつ受診する人が増えてきている。
中には始めからぶしつけで尊大な態度をとり、受診しにきてやっている、
少しのミスも許さないぞ、という患者もいるのだ。

ともかく患者様を尊重し、丁寧な言葉・態度をとらねばならない。
特に医師は患者や職員からは一目置かれているのが垣根となっているので
医師から挨拶をすること、患者の目を見て笑顔で自己紹介をし、
優しく問いかけることで、患者様の気持ちがなごみます。
と講義は締めくくられた。

私なりに納得できない面もあったが、良いと思われたアドバイス
積極的に取り入れていこうと思った。
意識を見直すことができてそれなりに異議のある研修であったと思う。

でも・・終了してからの医局の年配の先生たちの反応は今ひとつ。
研修効果は期待できそうにないようだ。
きっと変わらないだろう。
そして何度か研修をしている職員だが、
一部の態度・言葉遣いの悪い人たちも全然変わっていな〜〜い。
勤務先に対してまた一つ失望する結果となりそうだ。

例の変わり者ドクターはもちろん欠席。
それに対して彼はマイペースだから、で済ませてしまう上司にも再び幻滅。
上司は人がいいのだが、反面人に意見することができないのだ。
これでは病院の意識改革は無理だろう。

ああ、また愚痴になってしまった・・・・・。