納入病院公表、そしてどうなる産婦人科開業医。

新聞・テレビで一斉にフィブリノゲン納入先の病院名が
公表された。これはいつ発表されるか、ずいぶん前から噂になっていた。
わが勤務先でも、対応に関して何度か会議を持たれ
それなりのマニュアルを作っていたのだが、
なにしろ一番最近の使用ですら10年以上前。

当時をしる医者・薬剤師はもうすでにいない。
カルテももはやなく、誰に使ったかもわからない。
厚生省からのお達しで何年にどれだけ納入したかだけが
知らされている。

フィブリノゲンを使った経験を持つ医者もいないし
(当院は常勤産婦人科医はいない)
ピンとこないが、不幸にしてこのために感染、発症した
患者さんは堪らないだろう。運が悪かったで片付けられる問題ではないが、
かといってどこに、誰に責任を持っていけばよいのだろう。
被害患者を誰がどうやって救済していけばよいのだろう。
私にはわからない・・・。

血友病血液製剤(第八因子)のように、当時の日本の統括者であり
なおかつ海外から副作用情報を受けていたのに
使わせ続けた・・・ひょっとしたら薬害があるかもしれない
と予想できたのに使い続けさせた某教授と製薬会社幹部の
の場合は逆に話は簡単であるかもしれない。
(そういえばこの教授は遺伝子検査で名を挙げた大学だったのだ)

勤務先も大学病院も、総合病院〜中規模病院はほぼ
すべてが納入先をなっている。
それほどフィブリノゲンの使用が一般的であった時代があったのだ。

医者になったころ、よく使った薬なのに
今はさっぱり使わなくなったものも少なくはない。
振り返って考えてみたら、無駄だった治療やすべきではなかった治療は
私のささやかな経験でもいくつもあるのだ。
フィブリノゲンとは話のレベルが違うが・・。

それはそうと新聞を見ていて目だったことは
現在廃院または、経営者の変更のマークがついているのは
ほとんど産婦人科系であった。しかもそれは全国的な傾向だった。
出生率の低下、大病院志向の増加で個人開業医はこれからも
難しい時代であろう。特にお産は「無事に母子ともに退院する」ことが
前提のようなものだから。

自分の場合は個人産婦人科医院で出産したのだった。
大病院では知り合いに遭遇するかもしれないと自意識過剰だったのと
アットホームな入院生活への憧れや、フルコース並みのお食事が
ポイント高かったのである。でももし今出産するとしたら
間違いなく小児科・外科・内科が併設されている病院を選ぶだろう。