広域拠点病院の必要性

小児の夜間救急の問題は本当に切実になってきている。12日の深夜のニュースで地域小児センターの立ち上げの試みが報道された。少ない小児科医を効率よく機能させるにはある程度の広い地域をカバーする広域医療の形をとるしかないだろう。それなりの数の医者が確保できれば、報道されていた病院のように完全シフト制がとれる。(通常は当直をすると30時間以上の勤務となる。夜間もろくに眠れず通常勤務に入れば、いかに気力でカバーしようとも集中力は下がる。私自身そのような生活をずっと続けており、ひやりとしたこと、もう限界だと心で叫びながら診療をしたことは何度もある。)

小児科だけでなくあらゆる科でこのような広域の集中拠点病院を確保せねばならない時代がすぐそこまで来ているように思う。早くそうなって欲しいと思うが、実現すれば残念ながら、確実に距離的な不公平感は増大することだろう。

遠方の患者さんには申し訳ないと思うけど・・・・どうしようもないのだ。テレビでも街頭で小児救急を復活させよ!という署名活動をしている母親の団体があったが、いくら署名を集めても、人がいないことにはどうしようもないことをわかっていただけないだろうか。医師過剰と言う説も目にするが、眼科などを除いてほとんどの科で医師数はまだ不足している。(単純に、欧米との人口対医師数の比を比べても日本は10分の一、いやもっと少ない)

小児救急のもう一つの問題は、一部の親の非常識な言動。患者である子供以上に親の扱いに苦慮することも稀ではない。親の節度ある良識的な判断を期待したいが、目の前で子供が苦しんでいたら理性も吹っ飛ぶんだろうな。でも医師側も患者側も少しずつ我慢しながら、お互いに妥協点を見つけていかなくてはならないのだ。