脱走された〜

大暴れして担ぎ込まれた患者さん。家族の話ではインスリンの自己注射をしているらしい。デキスター27、低血糖であった。5人がかりで押さえつけて静脈注射と点滴を行い、ほどなく正常な意識を取り戻した。もちろん大暴れの記憶はない。

しつこく聞いたところ、30年前から糖尿病を指摘されているのにかかりつけ医を持たず、友人からインスリンを分けてもらい自己判断で使っているという。余りにも怖ろしいことだ。(カルテを調べたら勤務先にも2年前に3回受診していた。以後は受診なし。)治療経過や誰から分けてもらったを聞いたが答えてくれなかった。

状況が状況なので、家族からも説得してもらい入院としたが、翌日朝の回診に行ったら病室はもぬけの殻だった。脱走されたのは2回目だ。(もう1回は10年位前、アルコール中毒の離脱期に逃げられ、警察に保護された経験がある。この患者さんは離脱中に脅迫観念が起こり追われていると思い込んだらしい。おかげでアルコール離脱にはセレネース内服が必須ということを学んだ。)自宅に電話するともう帰っていると家族が応答した。アナムネも不完全、病気の説明も済んでいないし、今後の注意も不十分、もちろん入院費も未払いのまま。日中に家族が来院する約束になっていたのに、2日たっても誰も来ない。患者が患者なら家族も家族だ。

きっとこれからも滅茶苦茶な病識で勝手な治療を続けるであろう患者の今後が心配だ。けれども関わりたくない患者であることは間違いない。ブラックリスト認定!(でも、また担ぎ込まれたら拒否できないのが辛い。)

家族が「インスリンをうつと、ふわりとした気分になるのが気持ちよいようだ」と漏らしたのが気にかかる。低血糖が快感になっているのか?医療サイドのいうことに耳を傾けてくれない場合はどうしたらよいのだろう?今回は暴れたのが幸いしたが、静かに低血糖が進めば致死的になってしまう・・。

■2005/04/23 (土)
【追記】患者と二人きりは避けること。

今日のニュースより。

診察室で後ろから…精神科医「治療の一貫だった」

 愛知県警豊田署は21日、強制わいせつの疑いで、同県豊田市小坂町メンタルクリニック経営の精神科医の男(53)を逮捕した。
 調べでは、男は1月5日、クリニックの診察室で治療を終えて帰ろうとした豊田市の女性会社員(35)に後ろから抱き付き、胸などを触った疑い。当時、診察室内には男と女性の2人しかいなかったという。
 男は女性に抱き付いたことは認めているが、「治療行為の一貫だった」と容疑を否認している。


コメントするのもアホラシイお馬鹿ドクターだ。この人は論外だが、なかには患者からあらぬ疑いをかけられることもあるので、(異性だけではなくて同性であっても)患者と二人きりにならないようにせねばなるまい。
でもね、人手が足りなくてなかなかそうはいかないのが現実。(看護師さんに同席してもらえば、今度は他の患者の処置が遅くなる。→待たせすぎと苦情が出る。)