グッチを纏う女医。

週末に東京で研究会があった。ある投薬の検討会で、毎年ここに参加するのが私の密かな楽しみだ。全国から大量の医者が参加するが、これほどの大人数を収容できるホテルはPホテル○○しかないようで、芸能人の大規模な結婚式やお披露目もこのホテルの○○の間(いくつかあるが)で行われたのを思い出した。堤氏は毀誉褒貶の別れる人だが、凄いものをつくったことは素直に認めたい。堤氏失脚があっても、ホテルは健全経営を保っているのか、品川プリンスなどは、また更に拡張していた。

会を主催したメーカーも近い将来、某会社との合併が予定されている。部外者にも比較的納得できる合併話で、おそらくこのメーカーは今後も安泰なんだろう。

ところで会に出る前に銀座でウインドーショッピングをしてた時に、全身グッチで固めた女性がいた。今年のクルーズライン、フローラシリーズのグッチで、バッグ・靴・スーツと全てこのシリーズで纏め、銀座でもひときわ目立っていた。フローラシリーズは、グッチがその昔グレースケリーに捧げたラインで、その復刻版だそうだ。私もこのシリーズのグッチは大好きで、清水から飛び降りる覚悟でバッグを購入している。バッグもかなり高額だったので、もったいなくて2回しか活用していない。

全く偶然にも研究会で彼女を見つけた。講演が始まって1時間くらい遅れて私の斜め前の席に腰掛けたのだ。あんな派手な格好をして研究会に参加するなんて私には考えられないが、30分も座らないうちに出て行ってしまった。完全に会を利用して遊びにきているとしか思えない。彼女は医者だったのだが、なんだか常識を疑うような行動だ。グッチが色あせてみえた。

せっかく東京に行くのだからと、お芝居のチケットを探しまくり、オークションで5日の公演の舞台鑑賞券を見つけた。松本幸四郎の代表作、ラマンチャの男だ。完売なのに、定価よりお安く手に入ったのはラッキーだった。なんと初演は1969年で、今回の舞台で2000回の公演回数になるそうだ。客席は満席で、何度も何度もアンコールの拍手が鳴り響いた。パンフレットを購入して事前に粗筋を頭に入れたが、いくつか疑問が残るストーリーだった。私が一番感銘したのは松たか子さんの演技だ。松さんの舞台は昨年のミスサイゴンに続き2度目だが、全くイメージの違う役を見事に演じていた。最早親を超えるような女優さんに成長したのでは、とすら思った。