無防備な当直。

■2005/11/19 (土)
広い病院には隠れるスペースが山ほどある。終日オープンになっている勤務先での当直は「誰が侵入してくるかわからない」という恐怖に付きまとわれる。

現に、3年前に同僚の女医が駐車場で男に襲われた事件があった。元来元気で明るい同僚であるが、半年くらいはスカートもはけず、男っぽい服装をしなければという脅迫観念が去らなかった。今でもトラウマとして残っているという。犯人は結局捕まらず、このまま迷宮入りになることだろう。

今ではその事件の皆の記憶も薄まり、遠いものになってしまったようだ。かすり傷ですんだからよかったものの、一歩間違えば大惨事になるところだった。・・・当時も上層部の危機感は薄かった。対応は外灯を付けることだけだった。何事にも遅れている勤務先に危機感を求めても無駄だとあきらめているが、広い病院、特に夜間の院内を歩いていると、後ろから突然刺されてもおかしくない。誰も守ってくれないのだ、結局自分の身は自分で守らねばと強く感じる。

どんな患者がくるかわからない恐怖(かつては経験を積める期待感、興味、好奇心が勝っていたが、今は恐怖感の方が強い)と不審者の侵入の恐怖に加え、電話の恐怖もある。今日は当直だが、15時までに3件の不審電話があった。いずれもドクターを名乗るので、注意の浅い受付や病棟のナースから「ドクターから電話です」と電話が回ってきてしまう。以前うかつに出てしまい、何十分も、何回も電話口で怖い目にあってからは、正規の勤務時間以外は身に覚えのない電話に直接でることは一切避けている。「連絡先と所属を聞いてこちらからかけ直す」ように電話の仲介者に頼んでいる。奇妙なことに(ま、当然のことだが)これでかけ直すはめになったことは一度もない。なかなかよい撃退方法だと自負。

静かな夜でありますように。