年の初めからため息ばかり。

■2006/01/10 (火)
医療の進歩は必要なことだが、現在の移植医療には少々疑問な点もある。しかし、移植医療の保険適応を認めようという動きがあるらしい。移植医療の保険の拡大は大切なことだが、その前に一般的な医療を締め付けているのと矛盾している!医療崩壊が明らかになりつつあるのに、皆が受けられる医療ではなく、いわば幸運な一部の患者のみが移植を受けられるという不公平な治療に対して保険を拡大するのは、順番が間違っていると思う。
移植の保険適応が決まったら、確実に、しかもこれまで以上に、医療費が上がることだろう。

移植しかない患者さんには申し訳ないが、私は上のように思うし、少なくとも私の周りの一般内科医も同じように感じている。おかみの決めることのことはどうしてこうも実情を分かっていないのだろう?

ところで、ここ数年、よくメディアや学会に黒川先生(現東海大学教授、元東大教授・・・)がよく登場されるが、先生の歩んできた道のりって絵に描いたようなエリートコースなのだ。地方での医療にかかわったこともない、本当の僻地医療を体験していない方であるとつくづく感じる。このようなお偉い方たちがなにやら怪しげな方向に物事を動かしていくので、下方の医療従事者は益々青息吐息になっていくようだ・・・・。医療の上にたつドクターや医療行政を決める役人には、1ヶ月でもいいから地方の病院で働いてみて欲しい。

新研修医制度が失策だったことも明らかなのに、厚生労働省はこの制度を変えないつもりなのだろうか?(何事もしばらく経てみないと評価はできないという意見はわかるが、おそらく地方医療の崩壊はそれを待ってくれないような気がする)ある雑誌で、大学の教授格の先生たちの制度に対する座談会を報じてあったが、大学の現場からは研修医制度の疑問を発信しているのだという。大学の教授の意見も反映されないような医療制度になっているとしたら、本当に恐ろしいことだ。