誤った抗生剤の使用。

■2006/09/13 (水)
新しい抗生剤がでてきているので抗生剤の勉強の見直しをしている。
時代はセフェム全盛だが、私はペニシリン系も切れ味が良くて好きだ。しかし、勤務先のペントシリンのジェネリックはいただけない。効かないという印象がぬぐえない。何度使ってみても同じ印象だ。以前に薬局や医局に話してみたが、依然としてそのジェネリックは切ってもらえない。薬価が驚くほど安いのが原因だと思う。そして熱があればとりあえず使っておく、という時に便利なのだろうか。妙な耐性菌を作りそうで怖い。

耐性菌が問題になって長いのに、いまだに安易な使い方が横行している。私の周りには、熱もない風邪症候群にクラビットを必ず処方する内科医、どんな疾患でもファーストチョイスを第4世代にセフェムかカルバペネムにしている外科医が複数いる。それを注意する体制もなく野放しにしている病院。

第一、症例検討会がないなんて病院といえないではないか!う〜ん、あれやこれやと、イライラが募る。1年前に感染対策委員長になるように言われたのを受けていれば、少なくとも抗生剤の使用について権限をもって指示できただろう。(反面、きっと煙たがられたに違いない)しかし、私のような下っ端には荷が重過ぎると断った私は、固辞してしまった。面倒くさいという気持ちもあったのだ。ず〜〜と今の勤務先にいる予定はないので、この病院自体をもっとよい病院に作り上げていくという熱意が欠けているのだと自己分析。

さて、薬の使用は卒業してからそのまま放り出されて、自分で本を読んだり、先輩医師に聞いたりして使ってきた。臨床にでてから基本的な薬の使い方を系統だって教えられるような場面はなかった。(勉強するもしないも自由、しなければしないで、何とか日々は過ぎていく)

薬だけではない、CVカテの挿入も、ドレーン留置方も、内視鏡といった、一般的な手技も、その場その場で場当たり的に習ったので、教える医者によって、細かな手技はばらついていた。あれ?と戸惑いながら、自分でよかれと思うほうを取り入れて今日までやってきた。しかしこういった実践での基本的なトレーニングを受けていない我々世代が、研修医の指導をしているのだ。
都会の指導体制の確立している病院は別だが、地方では「画一化された臨床研修を受けず、経験的な実習で学んできた医者が、研修医の教育にあたっている」のが実情だ。ここに大きな問題があると思う。やはり一定レベルの最新の医療状況を強制的に学ぶようなシステム作りも必要なはずだ、地方においても。
でも、忙しくてシステム構築の時間もなければ、指導する余裕もない。雑用が多すぎるからだし、そもそも医者が少ないのだ。