一年を振り返って。

■2007/01/29 (月)このブログを書き始めた頃は今の状況を予想していませんでした。単に自分の愚痴を書くこと、もし読んでくれる人がいたら、勤務医を身近に感じてもらえたらというのが動機だったはずなのです。

Yasyan先生(新小児科医のつぶやきhttp://d.hatena.ne.jp/Yosyan/)がブログで書かれています。
「あれから1年足らずで医療系ブログ、BBSは見違えるほど充実しました。ブログ主として情報発信するものは数え切れないぐらいの数になり、コメントを寄せる医師の数も膨大です。」「1年間のブログ活動がいかに実りがなかったを痛感します。あの日から何か良い事が医療にあったでしょうか。記憶に残っているのは悪い事ばかりしか残っていない、悲しさ、無力さを思いながらの温故知新でした。」

本当に、福島事件をきっかけに、逆に明るい変化が来ることを期待したものでした。しかし、実際には結果が悪い=医者が悪いという傾向に歯止めはかからず、医者のモチべーションを下げることばかりの1年でした。予想以上に加速度的に医療崩壊は始まっています。しかし、一般の人の認識が恐ろしいほど低いことには愕然としてしまいます。

この状況に、医者の中には、言っても解らないなら体験してみればいいと、焼け野原待望論も出始める程ですが、それでも私は希望を捨てたくはないのです。

一部の妙な患者さんは確かに増えています。しかし、今でも実際の現場では、医者として尊敬され、検査や希望を素直に受け入れてくれる患者さんが圧倒的なのです。この人たちを捨ててはいけないし、彼らが困るような時代にしてはいけないと思うのです。医者だってQOLを重んじるべきと思いますが、それでもなお、この人たちのためには自己犠牲を払う覚悟が、まだ自分に残っているのには我ながら驚きます。ちっぽけなことしかできませんが、気力と体力が続く限り、底辺の一勤務医として働いていこうと思います。


きっとこれからも愚痴ったり嘆いたり、怒ったりの連続で、あの思いはどこへいったのか?と言われそうですが。