タミフルへの私見。

■2007/02/28 (水) 朝、出勤時にフジテレビでのタミフル報道を視聴した。レポーターがタミフルの添付文書に山のような副作用が記載されているのに、医者も薬剤師もほとんど説明しない!と鬼の首をとったように騒ぎ立てていた。何でもかんでも書いておくという安全策を、製薬メーカーはとっており、副作用の可能性が羅列されるのは常識だ。これを説明していないと非難するレポーターの非常識さに私はあきれた。
火スぺの件があるので、またフジテレビか!と抗議の電話をかけたくなったが、今回は司会やコメンテイターが、市販薬でも一杯書いてある、知らぬが仏(この言葉はデイブさんから。本当に語彙が豊富なガイジンさんです)なので自分はあえて読まないなど、フォローしていたので怒りは治まった。

さて、そのタミフルであるが、別記したように個人的には懐疑的。タミフル使用以前から熱による異常行動は稀に見られていたのだし、熱があれば(インフルエンザでなくても)おかしくなるのは大人の患者でも経験している。表立って厚労省は動けないのは中外とのしがらみがあるのか?と追求するメディアはまだないようだ。でも、私はこの騒動でタミフルの使用に歯止めがかかればいいと思っている。別記したように、本来は自己治癒力で治る病気であるし、症状が1〜2日早くよくなるだけなのだ。
タミフルで期待したいのは、1)新型インフルエンザへの効果、2)インフルエンザに罹患した場合に重篤な状態をまねく人への予防効果である。
今のように、大量の消費を続ければ、新型への備蓄も不十分になるし、なによりも耐性化してしまうのではないかということが心配だ。だから、このタミフルについてだけはマスコミが騒いで、ある程度の使用の歯止めに成る指針ができれないいとすら思っている。

↓に患者に渡しているA4レポートをアップ。耐性化や備蓄についてなども書いていたのだが、夫から備蓄は患者に言うのではなく、国がするべきことだから書くことはない。あまりネガティブデータも出さない方がいいと言われ、なるほどと納得したので、かなり簡略化したつもりだ。読まれた方から、内容についてのご批判をいただけたら嬉しいです。

★☆インフルエンザが疑われる患者さんへ☆★
インフルエンザ治療薬(いくつかありますがここではタミフルに統一します)タミフルについて、重大な副作用が起こる可能性が一部で提起されています。
知っていただきたいことを簡単にまとめましたので、お読み下さい。)

一日でも症状を軽くしたい場合は、タミフルを希望されることが多いのですが、「インフルエンザ陽性ならタミフルを使う」とすぐに考えるのは問題もあります。以下のことを読んでいただいた上でタミフルを希望される場合は処方させていただきます。

【一般的なインフルエンザの治療の概念】
健康な生活をされている方に積極的にタミフルを使うことは、推奨されていません。本来インフルエンザは予後がよく、休養をとり、症状に応じた治療だけで治る病気だからです。稀にインフルエンザ脳症がおこる可能性はありますが、薬で予防はできません。本来インフルエンザでは、安静と栄養が治療の基本です。

【インフルエンザ治療薬〜タミフルについて】
日本はタミフルなどの抗インフルエンザ薬を世界で最も使用している国で、タミフルの使用量は全世界の75%をも占めています。

タミフルに期待される効果
1)A型、B型のインフルエンザに効果があり、その症状回復を早める可能性があります。
2)流行時に周囲の未発症の方が服用すれば発病を防ぐ、予防効果があります。

実際のタミフルの効果と副作用の疑い
まだ発売されてからの年数が少ないため、タミフルが肺炎等など合併症を少なくする、インフルエンザ脳症が予防できるなどの効果は証明されていません。

副作用の疑いについて〜最近、報道されていること
タミフルを処方されていた患者さんの中で10数人の死亡が国内で認められていますが、その間に何千万というタミフルが処方されており、死亡との因果関係は全く不明です。
これまで、多数タミフルを処方してきましたが、個人的には副作用は経験していません。(個人的な考えですが、報道された患者さんは、タミフルの副作用というより、発熱による脳症、幻覚症状などが起こったのではないかと推測しています。)
タミフルで幻覚がおこるという証明もされていない反面、全くタミフルと関係ないという証明もできていません。

以上、簡単にタミフルについて注意点を書きました。