つきつめれば、誇りがもてなくなってきたのだと思う。

■2007/04/16 (月)入退院や患者の検査治療は、おおまかなアウトラインはガイドラインなどに沿うものだろうが、実際には医者の腹次第に負うところが大きい。今月はCTを増やそう、○日までにあと○人の入院が必要などの指令が飛べば、常識的な範囲である程度まで、希望に沿うようにもっていくことができる。こんな脅迫めいたことを書くのも、あまりに医者を悪者にする見方が目につくから、それならば力を持っていることをみせてやろうじゃないかと思ってしまうのだ。

医者の士気を上げる一番の特効薬は、お金ではないし、休暇でもない。患者さんからの感謝の言葉やいたわりの言葉、周りのスタッフからの励ましなのだ。院長やレントゲン技師長から、もう少しここを上げてくれないか?と請われると頑張ってみようと思うものだ。そして一言、先生頑張っているねと言ってくれるだけで、単純な医師頭は喜んでしまうのだ。さらには世間からの評価がいただければ、自分の限界を超えてでも頑張るエネルギーが得られる。

最低の給与と休暇で、水準の高い医療を支えてきた、医者の心の中の、形にできないような誇り、プライドがズタズタにされたことが、一番の医療崩壊の原因なのだと改めて思う。給料が安い、休みがないというのは二次的な問題であるのに、メディアはここだけを強調するので、一層士気が低下する。厚生労働省も一般臨床に携わる医者のハートを分かっていないから、見当違いの政策ばかりを出してくる。